「カタン」レビュー 定番だから安く遊べる 初めての1本にも親子にもすすめられる
「カタン」は1995年にドイツで発表され、世界80カ国以上、3,000万個以上売れているといわれるボードゲームの王道タイトルです。六角形の地形タイルで作った島を舞台に、資源を集めて道や街を広げていく拡大再生産系のゲームで、ボードゲーム専門店だけでなく大型書店やトイザらスの店頭でも見かけるほど広く流通しています。今回はそんなカタンを、実際に遊んだ視点でレビューします。
流通量が多いからこそ、内容物に対して安い
カタンは箱の中に、地形タイル・数字チップ・海フレーム・資源カード95枚・建築コマ・発展カードとひと通りの内容物が詰まっています。それでいて価格は3,000〜4,000円程度に収まっており、同じくらいの内容量の新作ボードゲームと比べると手頃です。理由は単純で、世界中で長年売れ続けているぶん生産数が多く、価格を抑えやすいからです。ボードゲームは新作ほど生産ロットが小さく単価が上がりやすいジャンルなので、この安さはカタンならではの強みだといえます。

拡大再生産と交渉が組み合わさった面白さ
カタンは、開拓地や都市を建てて資源の生産力を上げていく「拡大再生産」のゲームです。ここまでは他のボードゲームにもよくある仕組みですが、カタンならではなのは、自分の手番以外でも他のプレイヤーと資源カードを自由に交渉・交易できる点です。足りない資源を持っている相手を見つけて交渉を持ちかけたり、逆に持ちかけられた交渉に乗るかどうかを判断したりする駆け引きが、手番を待つだけの時間をなくしてくれます。ルールと流れの詳細は遊び方ガイドにまとめているので、購入前にどんな手順で進むかを確認したい人はあわせて読んでみてください。
運要素があるから、初心者でも勝ち筋がある
資源はサイコロの出目に応じて生産されるため、カタンには一定の運要素があります。経験者が有利な戦略ゲームの中には、初心者が何回か遊んでようやく勝ち筋が見えてくるようなタイトルも珍しくありませんが、カタンは出目次第で初心者が上級者に勝つこともめずらしくありません。もちろん出目の出やすさを踏まえた初期配置や交渉の立ち回りで勝率は変わるので、実力差がまったくないわけではありません。腰を据えて勝率を上げたい場合は攻略ガイドも参考にしてください。この「運と実力のバランス」が、初めてボードゲームを遊ぶ人を置き去りにしない理由になっています。
ルールがシンプルで、子供とも遊べる
手番でやることは「サイコロを振る」「資源を受け取る」「交渉・建設する」の3ステップだけで、覚える要素自体はそれほど多くありません。対象年齢は10歳以上ですが、ルールの理解だけで見ればもう少し下の年齢でも十分についてこられる子は多いはずです。親子で1つの島を取り合いながら遊べるのは、カタンの大きな魅力のひとつです。

熱くなりすぎには注意
一方で、遊ぶ相手によっては気をつけたい面もあります。カタンには他のプレイヤーとの交渉のほか、サイコロで7が出たときに任意の1人から資源を奪える「盗賊」の仕組みがあり、どちらも特定のプレイヤーを狙い撃ちすることができます。序盤で有利なプレイヤーに交渉が集まらなくなったり、盗賊で繰り返し同じ人が狙われたりすると、対人ゲームならではの駆け引きが行き過ぎて、場の空気がぎくしゃくしてしまうことがあります。ちょうど「桃太郎電鉄」で特定のプレイヤーを狙って貧乏神を押しつけ合ったときのような空気に近いかもしれません。大人同士でも本気になりすぎると気まずくなることがあるゲームなので、盛り上がりを楽しみつつも、ゲームの中の駆け引きだと割り切れるメンバーで遊ぶのがおすすめです。
カードゲーム版・3D版もある
このレビューで扱っているのは、地形タイルを並べて盤面を作る通常版(スタンダード版)です。カタンにはこのほかに、持ち運びやすくルールも簡略化されたカードゲーム版や、地形が立体になった3D版など派生モデルもいくつか登場しています。手軽さや見映えを重視するなら派生版も選択肢に入りますが、駆け引きの深さや拡張の広がりを考えると、初めての1本には通常版のスタンダード版をおすすめします。
拡張セットは、慣れてから自分のレベルに合わせて
カタンには基本セット以外にも拡張セットが多く出ていますが、それぞれ遊び手のレベルに合わせて選ぶのがおすすめです。基本セットを何度か遊んでからの検討で十分間に合います。
「航海者版」は、船で海へ漕ぎ出して新しい島を開拓していく拡張セットで、シリーズの中でも人気の高い1本です。基本セットの陸地だけの盤面に物足りなさを感じてきた中級者向けです。
「都市と騎士」は、騎士による防衛やランダムイベントが加わり、ルールが一段と複雑になる拡張セットです。ボードゲーム自体にある程度慣れた上級者向けなので、カタンが初めての1本という人は後回しにして構いません。
5〜6人で遊びたい場合に必要な「5-6人拡張」は少し事情が違います。大勢で遊べること自体は便利ですが、プレイ人数が増えるとその分手番も増えるため、1ゲームの時間も自分の手番以外の待ち時間も長くなります。個人的には、6人という人数を活かすなら5-6人拡張を足すよりも、3人ずつ2卓に分かれて基本セットで遊ぶ方をおすすめします。1ゲームがテンポよく終わる上、卓を入れ替えて2回戦にするといった遊び方もできます。とはいえ、同じ卓を囲みたい事情がある場合には便利な拡張です。
どんな人におすすめか
内容物のわりに価格が手頃で、運要素もあるぶん初心者でも勝ち筋があり、ルールもシンプル。この3点が揃っているので、これからボードゲームを始めたい人の最初の1本にも、親子で一緒に遊ぶ1本にもすすめやすいタイトルです。逆に、対人での駆け引きに気まずさを感じやすいメンバーで遊ぶ場合は、盛り上がり方に少し気を配ってあげるとよいでしょう。基本セットは記事の冒頭でも紹介した通りです。
よくある質問(FAQ)
- ボードゲームを初めて買うのですが、カタンはおすすめですか?
- おすすめです。世界的に長く売れているぶん流通量が多く、内容物のわりに価格が手頃です。運要素もあるので、ルールを覚えたばかりの人が経験者に勝つこともめずらしくありません。
- カードゲーム版や3D版もあるようですが、違いはありますか?
- このレビューで扱っているのは、地形タイルを並べて盤面を作る通常版(スタンダード版)です。カードゲーム版は手軽に遊べるよう簡略化されたルールで、3D版は地形が立体になった上位モデルという位置づけで、いずれも遊び心地は通常版とは変わります。初めての1本には、まず通常版をおすすめします。
- 子供と遊んでも大丈夫ですか?
- 対象年齢は10歳以上で、ルール自体は子供でも理解できるシンプルさです。ただし取引や盗賊で他のプレイヤーを妨害できる要素があるため、勝ち負けに熱くなりやすい子には、あらかじめ「ゲームの中の話」と伝えておくと安心です。
