「ギズモ」レビュー エネルギーディスペンサーが唯一無二 コンボが気持ちいい
「ギズモ(Gizmos)」は、Phil Walker-Harding氏がデザインし、CMONから2018年に発売されたエンジンビルド系のボードゲームです。同年のドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)にもノミネートされました。中央に置く「エネルギーディスペンサー」からビー玉を取り出し、それを使って「ギズモ」と呼ばれるカードを次々に建築していく拡大再生産ゲームで、見た目のインパクトと、手番の中でギズモの効果が連鎖していくコンボの気持ちよさが大きな魅力です。今回はそんなギズモを、実際に遊んだ視点でレビューします。
エネルギーディスペンサーという唯一無二のギミック
ギズモを語るうえで欠かせないのが、中央に組み立てる塔のような「エネルギーディスペンサー」です。組み立て式で、遊ぶたびに毎回このディスペンサーを組むところから始まります。ビー玉を投入すると内部を転がり落ち、滑り台状の受け皿に6個並んで出てくる仕組みで、見た目のインパクトと、玉が転がる音・動きの気持ちよさが、他のボードゲームにはない体験を作っています。遊び方の詳細は遊び方ガイドにまとめていますが、このギミックだけでも食卓の主役になれる存在感があります。

コンボが連鎖する気持ちよさ
ギズモの手番でできることは「ピック」「ファイル」「ビルド」「リサーチ」の4つだけですが、建築したギズモの多くはこれらのアクションに反応して効果を発動する仕組みを持っています。1つのギズモの効果が別のアクションとして扱われることで、さらに別のギズモの効果を連鎖的に引き起こすことがあり、うまく噛み合ったときは1回の手番でエネルギーの獲得やギズモの建築が何度も連続して起こります。この「効果が効果を呼ぶ」感覚こそがギズモというゲームの核で、拡大再生産ゲームの中でも特にコンボ構築の気持ちよさに寄せたタイトルだといえます。連鎖の具体的な仕組みは遊び方ガイドで実際のカードを使って解説しているので、購入前にどんな感覚か確認したい人はあわせて読んでみてください。
対人の駆け引きが少ないから、穏やかに遊べる
カタンのような資源交渉や、相手を名指しで妨害する仕組みは、ギズモにはほとんどありません。中央の場に並ぶギズモやエネルギー列のビー玉を先に取られてしまう間接的な奪い合いはありますが、直接誰かを攻撃したり不利益を押しつけたりする場面は基本的にないので、対人の駆け引きに気まずさを感じやすいメンバーでも、自分のコンボ作りに集中して穏やかに遊べます。多人数での交渉ゲームが得意でない人にも勧めやすい一本です。
カードは文章なし、アイコンだけで言語を選ばない
ギズモのカードには文章による説明が一切なく、効果はすべてアイコンの組み合わせだけで表現されています。最初はアイコンの意味を覚える必要がありますが、覚えてしまえば版による言語の違いを気にする必要がなくなるのは大きな利点です。海外版のほうが入手しやすかったり安かったりする場合でも、見た目のグラフィックさえ同じであれば問題なく遊べます。
カードの雰囲気はこんな感じ
文章では伝わりにくい部分なので、実際のカードを何枚か紹介します。レトロな科学者の実験ノートを思わせる背景に、掃除機や扇風機のような身近な家電から、いかにも「発明品」らしいガジェットまでがコミカルなタッチで描かれていて、眺めているだけでも楽しい雰囲気です。エネルギーの色(黒・青・赤・黄)によってカードの縁の色が変わるので、遊んでいるうちに自然と色分けが頭に入ってきます。




似ているゲームとの違い(スプレンダー)
拡大再生産でカードを集めていく仕組みが近いことから、「宝石の煌めき(スプレンダー)」とよく比較されるタイトルです。スプレンダーは、買ったカードの割引効果を積み重ねて次のカードを安く買っていく、王道でシンプルな拡大再生産です。対してギズモは、1つの効果が別の効果を連鎖的に呼び込むコンボ構築に振り切っている点が大きく違います。スプレンダーよりも考えることは増えますが、そのぶんコンボが噛み合ったときの気持ちよさはギズモならではです。スプレンダーの拡大再生産が気に入った人が、次の1本としてワンランク上の複雑さに挑戦するのにちょうどいいタイトルだといえます。
人数による遊び心地の違い
駆け引きの濃さでいえば、2人対戦が一番おすすめです。相手が欲しそうなエネルギーを先にピックしたり、建てたそうなギズモを先にファイルで押さえたりする間接的な妨害戦術が、対戦相手が1人だけの2人戦だと実際によく効きます。
逆に3〜4人になると、自分が狙っているカードやエネルギーが、自分の手番が回ってくる前に他の誰かに先に取られてしまう場面が増えます。プレイヤーが多いほど場の変化を自分でコントロールしにくくなり、運要素の比重が大きくなる感覚があります。じっくり駆け引きを楽しみたいなら2人、大人数でわいわい遊びたいなら3〜4人、という使い分けがおすすめです。
気になる点はダウンタイムと価格
良い点ばかりではなく、気になる点も紹介します。
1つ目はダウンタイムです。コンボがうまく噛み合った手番は気持ちがいい反面、その分だけ他のプレイヤーは待ち時間が長くなります。特にギズモが増えてくる中盤以降は、1人の手番が長引きやすい点は覚えておくとよいでしょう。
2つ目は価格です。カタンのような定番タイトルと比べると流通量が少なく、内容物のわりに価格はやや高めです。
初版と第2版の違い
ギズモには2018年発売の初版と、その後に出た第2版があります。大きな違いはエネルギーディスペンサーの素材です。初版は紙製でしたが、第2版ではプラスチック製に変わり、耐久性が上がりました。現在流通しているのはほとんどが第2版で、記事の冒頭で紹介した商品も第2版です。中古などで初版を見かけた場合は、ディスペンサーが紙製である点を踏まえて選ぶとよいでしょう。
カードサイズとスリーブ
ギズモのカードは66mm四方の正方形という珍しいサイズで、一般的なトレーディングカードサイズ用のスリーブは使えません。ぴったり合う67mm角のスリーブは海外メーカー製で国内では手に入りにくいため、現実的には69mm角のスリーブが選択肢になります。カードよりひとまわり大きくなりますが、国内で入手しやすいのはこのサイズです。1パック50枚入りなので、ギズモの112枚すべてをスリーブするには3パック必要です。
どんな人におすすめか
エネルギーディスペンサーという見た目のインパクトと、手番の中でギズモの効果が連鎖していくコンボの気持ちよさ。この2点が揃っているので、拡大再生産・エンジンビルド系のゲームが好きな人や、対人の駆け引きより自分のコンボ作りに没頭したい人に特におすすめできる一本です。ダウンタイムや価格の面は事前に理解した上で選ぶとよいでしょう。基本セットは記事の冒頭でも紹介した通りです。
よくある質問(FAQ)
- ボードゲーム初心者でも楽しめますか?
- 楽しめます。手番でできることは「ピック」「ファイル」「ビルド」「リサーチ」の4つだけとシンプルで、覚える手順自体は多くありません。ギズモの効果を組み合わせるコンボの奥深さは遊び込むほど見えてきますが、最初は自分の場に並んだギズモの効果を確認しながら遊ぶだけでも十分楽しめます。
- 対人の駆け引きが苦手でも大丈夫ですか?
- 大丈夫です。カタンのような資源交渉や相手を狙い撃ちする要素はほとんどなく、基本的には自分のギズモをどう組み立てるかに集中できます。エネルギーやカードを他のプレイヤーに先に取られてしまう間接的な奪い合いはありますが、直接攻撃されることはありません。
- カードが英語版でも遊べますか?
- 遊べます。ギズモのカードは文章による説明が一切なく、すべてアイコンだけで効果が表現されているため、言語版の違いは見た目のグラフィックが同じであれば実質的に影響しません。海外版のほうが入手しやすい・安いという場合は、そちらを選ぶのも十分ありです。
- 初版と第2版はどちらを買うべきですか?
- 第2版をおすすめします。エネルギーディスペンサーが紙製から丈夫なプラスチック製に変わっており、耐久性が上がっています。現在流通しているのもほとんどが第2版です。
- スプレンダーと似ていると聞きましたが、両方持つ意味はありますか?
- あります。スプレンダーはカードの割引を積み重ねるシンプルな拡大再生産、ギズモは効果が効果を呼ぶコンボ構築寄りのゲームで、遊び心地はかなり違います。スプレンダーの拡大再生産が気に入った人が、次のステップとして選ぶのにちょうどいい1本です。
